お菓子系雑誌とブルセラブームに湧いた90年代《1》

お菓子系雑誌とブルセラブームに湧いた90年代《1》

バブル崩壊後の90年代。当時創刊されたお菓子系雑誌と女子中高生が主役となったブルセラブーム。本稿ではメディアに度々登場した彼女達に焦点を当てます。


ブルセラショップの出現

90年代を振り返ってみると、バブル後とはいえ妙な混沌と根拠ない熱気溢れる時代だったような気がします。世紀末が近いというのもあって、とんでもない何かが起こるんじゃないかという空気があったように思います。まあ何も起きないんですけどね。

ノストラダムスの予言では1997年7月に人類は滅亡すると言われていましたが、誰もが世紀末が近づいている期待と不安にちょっぴり浮かれ、刹那的になっていたような時代でした。

今はコスプレショップとブルセラショップが一緒だったりするんですね

ノストラダムスの大予言 迫りくる1999年7の月人類滅亡の日 (ノン・ブック)

カルチャーやファッション、テクノロジーも急激に変化し、カシオのG-SHOCK、たまごっち、古着ブーム、クラブブーム、Jリーグの開幕、オウム真理教の台頭、そしてコギャルブームと、新しい話題に事欠きませんでした。

出版業界でもヘアヌードが事実上解禁となり、一大ブームとなります。それによりヘアヌード雑誌、グラビア雑誌も盛り上がりを増して、さまざまな出版物が世に出ました。そんな中で今回注目したいのが、この時期出てきたコギャルブームと同時に発生した「ブルセラ」ブームです。

一世を風靡したG-SHOCKです

たまごっち。みんな育ててましたよね

コギャルブームとブルセラブーム

コギャルブームは90年代初頭に一大ギャルブームが到来しました。特に女子中高生にスポットが当たり、ファッション、カルチャーに多大な影響を与えます。安室奈美恵、浜崎あゆみなどもこの時代に登場したと思います。

ギャルブームをざっくりと分けると、「コギャル」と「ヤマンバギャル」になるかと思います。コギャルはルーズソックス、ハイブランドのマフラー、PHSにたまごっちをぶら下げ、プリクラを携帯にベタベタ貼っていて、制服のスカートは超ミニでブレザー型とかでしょうか。

『egg』は、大洋図書が刊行する女性向けファッション雑誌。ギャル系雑誌。 1995年、創刊。

90年代のギャルブームを引っ張った二人

ガングロギャル。普通に渋谷を歩いてたというのが凄いです

ヤマンバギャルはコギャルから更に進化というか、どこまでも見た目を盛ってしまうといういでたちです。コギャルとLAファッションが入り混じった、またメイクはどこまでも派手にという感じでしょうか。制服の上にはアルバローザのコート、me janeのショッパー。そしてクラブのパー券を売りさばきに渋谷センター街を闊歩していたというイメージです。

表面的にはこのような派手なブームが世間を賑わしていたわけですが、もちろんアンダーグラウンド界隈でもギャルブームは到来することになります。この時期には裏原宿系といわれるファッション、個性的なアンダーグラウンドカルチャーも若者の間で生まれていました。

そんな中で女子高生というキーワードが商品価値になると狙いを定めた商売人、また自分たちに商品価値があると目覚めた女の子たちが、世紀末ならではのあっけらかんとカジュアルにお金を稼ぐ方法を見つけたのです。

彼女たちはいわゆる不良といわれるタイプでもありません。どこにでもいそうな普通の女の子たちが、自らを商品として消費していったのです。援助交際もこの時期にブームとなったと言われています。女子学生たちはそれを貧困だったからとか不幸な境遇だったわけでなく、自分の性を商品として利用したのが今までの価値観と違っていました。

世紀末の刹那気分が合致して生まれたのがブルセラショップだったのではないでしょうか。援助交際ブームもお話したいのですが、今回は触れません。

女子中高生とブルセラショップの利害の一致

ブルセラショップとは、女子高生(中学も含んだ)の中古の制服や体操服、ソックスなどを売買する店舗です。販売していたのはブルマー、セーラー服、体操着、ブレザーの制服、スクール水着など。その他に女子中高生が日常で使用する小物や下着、生写真、ビデオ、ある時期には写真付き唾液なども売られていました。

記憶を辿ると、秋葉原や渋谷に店舗は多くあった気がします。何度か取材で行っていたのですが、いつも行くのは渋谷でした。宮益坂の中間あたりに有名なブルセラショップがあったんですよね。城南電機というバッタ屋家電屋があった辺りです。ブルセラショップ以前にもこのようなマニア向けの店舗はあったとは思うのですが、ブルセラショップとして話題になり始めたのは90年代初頭にはかなり知られる存在だったと思います。

なぜ女子学生たちがあっけらかんと使用済み靴下や使用済み下着を売るのか、理由を理解することはできません。果たしてお金が欲しいだけだったのか。それは社会学者たちがたくさん語っているのを読むのがいいのでしょうね。取材している時、ブルセラショップに出入りする女子学生たちを思い出すと、引け目を感じることもなく、ワイワイと下着を売りに来る姿に呆気にとられながら観察していたものでした。

中村愛美。BUBUKA2001年12月号でブルセラショップに通っていたことがスクープされました

ブルセラショップに出入りしていたとして、芸能界に居づらくなった中村愛美というアイドルがいました。彼女は「生写真付き生脱ぎパンツ」という、自ら制服のスカートをまくり、下着を見せているという衝撃的商品が見つかりセンセーショナルな話題を振りまきました。アイドルはイメージが大事なだけあってこの過去は致命的となり、彼女は芸能界からフェードアウトしていきます。

10代は欲望を抑えることが難しい年頃かもしれません。彼女たちが手っ取り早くお金を得るのにブルセラショップで下着などを売るというのは、性行為などがないということで入り口が広かったのかもしれません。女子中高生であるということが金になるという、とても現実的でドライな感覚。それらがカジュアルで後ろめたさもなく、自分を汚すことなく性をお金に変える行為になったのかもしれません。

ブルセラ雑誌からお菓子系雑誌へ

女子中高生であることが注目を浴びるブームが生まれたことにより、男性向け雑誌にも変化が生まれました。ブルセラ雑誌の登場です。以前から制服を使ったグラビアはたくさんありましたが、専門誌として92年にクリームという雑誌が登場します。

そしてすぐにホイップ、ワッフル、クレープなど、お菓子の名称をつけた雑誌が続々と出版されました。これらはお菓子系雑誌と呼ばれ、そこから出てくるブルセラアイドルたちをお菓子系アイドルと呼んでいたのです。

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