新人・田中美佐子がヌードを披露した映画『ダイアモンドは傷つかない』
1982年5月に公開された映画『ダイアモンドは傷つかない』。駄目な中年男に惚れてしまう女子大生の恋愛模様を描いた同年を代表する一作です。
主演を務めたのは、前年にドラマ『想い出づくり』でデビューしたばかりの田中美佐子でした。
同作では、そのスレンダーで美しい肢体を惜しげもなく披露しています。
デビュー当初はヌードを披露していた田中美佐子ですが、実はとても嫌だったそうで、それを理由に一時芸能活動を休止しています。
しかしながら、同作でのまさしく身体を張った演技はいわゆるハマり役で、どこかアンニュイで冷めた女子大生を演じています。クールさを保ちつつも、妻子持ちの男性に惹かれ、没頭していく様を見事に演じ切っています。
また、同作で田中美佐子は第6回日本アカデミー賞(1983年)の新人俳優賞を獲得しています。
その期待の新人の相手役に選ばれたのは山崎努でした。黒澤明の『影武者』(1980年)でキネマ旬報報知映画賞助演男優賞を受賞するなど、演技に円熟味が増してきた頃に撮られた同作。なんとも飄々とした役柄を見事に演じ切りました。
予備校で古典を教える講師 三村一郎(山崎努)とその教え子であり、大学生ながら予備校でバイト中の越屋弓子(田中美佐子)
同作で山崎努は妻子を持ちながら、10年以上にも渡って別の女性と不倫関係を続ける、女にだらしない中年男を好演しています。身勝手なご都合主義で愛を語り、女性を抱く。田中美佐子演じる越屋弓子を含め、奇妙な四角関係を構成しました。
本作は元々 三石由起子の小説で、小説家 三浦哲郎の推薦により1981年『早稲田文学』(1981年)に掲載されたもの。その後、浅野温子主演の『スローなブギにしてくれ』(1981年)での監督や鈴木清順監督作品『ツィゴイネルワイゼン』(1980年)での名演技で知られる藤田敏八がメガホンを取り、映画化されました。
小説版『ダイアモンドは傷つかない』
映画チラシ「ダイアモンドは傷つかない/ザ・レイプ」
リアリティのある人物設定
山崎努演じる三村一郎は代々木ゼミナールなどで古文を教える人気講師でした。授業を受ける受験生は多く、教室は満員状態。双眼鏡を片手にノートを取る者もチラホラ。
田中美佐子演じる越屋弓子は、早稲田大学の学生という設定で、いわゆる才色兼備のクールな女子大生という役どころでした。
同作の原作者である三石由起子は、河合塾で漢文の講師を務めていたともされ、映画化にあたってリアリティが追求されていたように思います。
『ダイアモンドは傷つかない』 あらすじ
予備校の講師・三村一郎は、義理弟・中山修司(小坂一也)の結婚披露宴でスピーチをしていると、越屋弓子が自身の妻・真知子(朝丘雪路)に挨拶しているのを見つける。
現在大学生である弓子は、一郎の元教え子であるが、ある雨の夜に偶然親しくなって以降不倫関係にあった。
ただ、一郎は酒と女のために予備校をかけ持ちするどうしようもない中年男だ。
もう一人10年以上前からの愛人となる牧村和子(加賀まりこ)もおり、彼は真知子、弓子を含めた3重生活をしているのだった。
また、弓子は弓子で披露宴での一件以外にも、和子が経営する帽子屋に訪れて、自分こそが“一郎の女”と牽制するなど一郎を取り合う。それほど一郎に惚れていたのだ。
一郎の家庭は表面的にはうまくいっているように見えたが、虚構の家だった。中山によれば真知子はノイローゼ気味で、奇行する症状が現れていた。中山は義兄である一郎に不倫を止めて、姉の病気をもっと真剣に考えて欲しい旨を伝えた。しかし、何かと理由を付け、のらりくらりと核心から逃げる一郎であった。
一方の弓子はある日言われた「50年経ったら結婚しよう」という一郎の言葉を理解しようとしながらも、彼を愛した事から始まった行場のない淋しさに疲れ始めていた。
DVDパッケージ 裏
ダイアモンドは傷つかない 田中美佐子 | 新品・中古のオークション モバオク
一郎が講師を務める予備校で働く中山は、同じ予備校でバイトとして在籍している弓子と一郎の関係が職員にバレてしまう事を危惧し、再三一郎に忠告するが気にも留めてもらえない。しかし、一郎はなんとか重い腰を上げ、弓子の新しいバイト先として中学生を対象にした塾を知人に紹介してもらう。
順調に塾講師を続けていた弓子だが、一郎に指定されたレストランに約束時間よりだいぶ前に入ると楽しく食事をする一郎と和子を偶然見つけてしまう。一郎は同じレストランで浮気相手との食事を済ませようとしていたのだ。
弓子は一郎の元に行き自身と別れてくれるよう感情的に訴える。店を飛び出した弓子は、亡霊のようにふらふらと街を彷徨う。
すると偶然、街中で一郎と再会する。結局二人は何軒も回り酒を飲み、へべれけ状態になる。するとさっきまで別れると言っていた弓子だが、いつものように身体を許してしまう。
情事を繰り返す二人
翌日、一郎との関係がはっきりしないままの弓子は、和子の家に電話をかけて「別れたいけど別れられない」と気持ちをぶつける。その夜和子は三村家に電話をかけるが、電話の相手にピンと来た一郎が受話器を取らなかったため夜通しベルが鳴り続けて真知子は精神的に不調をきたす。
翌朝一郎が和子と直接話し合うために和子宅を訪れてドアを開けるが、その瞬間彼女は彼に向かってゴルフクラブを振り下ろす。
映画ポスター